「いつの間にか屋根が色褪せてなんだかコケのようなものも生えてて汚い…。そろそろメンテナンスの時期かな…。」そう考えている多く方は屋根のリフォームを3つの方法で比較検討していることでしょう。
しかし、あなたの家の屋根がコロニアルなどのスレート瓦であるのであれば、選択肢は3つもないかもしれません。むしろ、場合によっては選択の余地など無く、一択になることさえあります。
このページではコロニアル屋根の正しいメンテナンスの方法、コロニアル屋根に最適なリフォームの方法を紹介しています。コロニアル屋根のリフォームを検討している方はぜひ参考にしてください。
コロニアル屋根って?
上の画像にあるのがコロニアル屋根です。名前は聞き慣れないかもしれませんが、最も一般的な屋根材で今や瓦屋根よりも多くの住宅に採用されているので誰しもが一度は目にしたことがあるかと思います。
コロニアルというのはもともとケイミュー株式会社の商品名を指すもので一般名称ではありません。どうゆうことかというと、トイレにおける「ウォシュレット」がTOTOの商品名であり、一般名称は「温水洗浄便座」であることと同じです。
コロニアル屋根は他にも「軽量スレート」や「カラーベスト」「化粧スレート」「平板スレート」などと呼ばれていますがどれも同様の屋根材のことです。
コロニアル屋根は安価・軽量・施工が簡単・豊富なカラーバリエーション・太陽光発電システムが設置可能なことから新築の屋根に最も使われている屋根材です。
コロニアル屋根(スレート瓦)の塗装は見た目が綺麗になるだけ
屋根のリフォームを考えたときに多くの方は塗装、重ね葺き、葺き替えの3つから選択することを考えますが、実はコロニアル屋根の場合は塗り替えを行っても機能性を回復させることはできません。
上の画像はコロニアルの発売元であるケイミュー株式会社の「屋根材総合カタログ」の85Pの内容です。重要な部分のみ抜粋します。
■変色・色あせ・汚れが目立つ場合
●美観の維持、向上を図るのであれば再塗装してください。
引用:ケイミュー株式会社の公式カタログ(図右上)
また、図の下から4行目と5行目にも下記のような記載があります。
弊社屋根材(平形屋根スレート)は表面の色が薄くなったり、汚れがついた場合でも屋根材としての基本性能には問題ありません。
再塗装は美観の維持・向上を図るためのものです。屋根の基本性能に影響することはありません。
引用:ケイミュー株式会社の公式カタログ(下から4~5行目部分)
このようにコロニアルのメーカー公式カタログでも塗装しても性能に影響しない(意味ない)とはっきり言い切っています。
以上のことからコロニアルをはじめとするスレート瓦のリフォームは塗装ではなく、重ね葺きか葺き替えのいずれか2択から選択することになります。
コロニアル屋根のカバー工法(重ね葺き)と葺き替えを比較
カバー工法(重ね葺き) | 葺き替え | |
概要 | 既存の屋根の上に新しい屋根をかぶせて二重にする工法 | 既存の屋根を解体&撤去し、新しい屋根に替える方法 |
対応可能な屋根 |
|
|
築年数 | 20〜25年 | |
費用 | 100〜150万円 | 120〜300万円 |
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
カバー工法と葺き替えをザッと比較するとこのようになります。それぞれメリットとデメリットがありますが、ここからは表の中でもみなさんが特に気になる下記の3つにお題を絞って説明していきたいと思います。
- コロニアル屋根にアスベストが使われていると聞くがカバー工法で大丈夫なのか?
- カバー工法で屋根が重くなることによる耐震性の低下は大丈夫なのか?
- 長期的に見た場合に費用はどの程度変わるのか?
カバー工法(重ね葺き)はアスベストが使われている平成18年以前の屋根にも有効
「コロニアル屋根にはアスベストが使われているって本当?」という質問がたまにありますが、結論から言えば本当です。ただ、全ての屋根にアスベストが含まれているかというとそうではなく、規制が強化された平成18年以前のものに多く使われています。
もちろん、現在のコロニアル屋根にはアスベストが含まれていることはありませんが、平成18年以前の当時はおよそ8割の家の屋根にアスベストのコロニアル屋根が使われていたと言われています。
「アスベスト」と聞くと非常に心配になるかと思いますがコロニアル屋根に含まれているアスベストは固められており飛散しない非飛散性ですので直接的な健康被害はないとされています。
ただ、屋根材の劣化により割れたり、砕けたりすると内部で固められているアスベストが飛散する恐れがありますので注意が必要です。
また、アスベストを含んだコロニアル屋根を撤去する際は専門の資格を持った業者に依頼する必要があるためアスベストを含んでいないコロニアル屋根の解体よりも費用が高くなりがちです。
アスベストのコロニアル屋根は解体すると費用が高額になりますので既存の屋根を撤去しなくて済むカバー工法が最もおすすめです。アスベストを含んだコロニアル屋根のカバー工法(封じ込め)は多くの専門家から認められている方法ですので安心です。
カバー工法は重くなるって聞くけど耐震性は大丈夫?
重ね葺き(カバー工法)はその名の通り、屋根を重ねて二重にする工法です。そのため、耐震性などを心配される声もあります。確かに重ねている屋根と重ねていない屋根では重ねていない屋根の方が耐震性能は高いことでしょう。
しかし、かといって本当にカバー工法は耐震性を著しく低下させるような危険性のある無茶な工法なのでしょうか?様々な意見があるとは思いますが少なからず私はそうは思いません。
そもそも本当に無茶な工法ならこんなに世の中に広く浸透しないはずですし、地震のたびに危険性が話題になるはずです。どこかで地震があった際にカバー工法の屋根の家だけ倒壊したというような話も聞いたことありません。
そこまで屋根の重量で耐震性が大きく変わるのであれば、日本瓦なんて屋根は産まれなかったことでしょう。次の表を見てください。
屋根材の種類 | 一坪あたりの重量 |
---|---|
日本瓦 | 165kg |
ガルバリウム鋼板 | 17kg |
スレート瓦 | 68kg |
上の表は日本瓦とガルバリウム鋼板、スレート瓦の3つの屋根の一坪あたりの重量を比べたものです。ご覧の通り、日本瓦は圧倒的な重さがあることがわかります。
上の表だけ見ると単純にスレート瓦にガルバリウム鋼板を5重に重ねた(実際はありえませんが)としても日本瓦よりも軽いことになります。
日本瓦がこれだけの重さがあるにも関わらずに地震大国である我が国でこれだけ普及しているのです。スレート瓦にガルバリウム鋼板を重ね葺きしたくらいで耐震性が大きく損なわれると思いますか?
重ね葺きの耐震性問題は悪質なリフォーム会社の営業マンが単価の高い葺き替えを勧めるために「耐震性」という消費者の不安を煽る言葉を使っているに過ぎません。
もちろん、既存のコロニアル屋根が著しく損傷している場合や劣化が進んだ場合はカバー工法ができなくなってしまいますので、一概に葺き替えを勧めてくるリフォーム業者が悪徳であるという訳ではありません。
私が言いたいのはコロニアルをはじめとするスレート屋根にとってカバー工法はほとんどの場合で最適なリフォームであり、重量による耐震性などの問題は消費者が意識しているほど大きくはないということです。
カバー工法はコスパ最強!20年で最大170万円お得!
A宅 | B宅 | C宅 | |
---|---|---|---|
初回のリフォーム | カバー工法:100万円 | 葺き替え:200万円 | 塗装:70万円 |
10年後 | メンテナンス不要期間 | 塗装:70万円 | 葺き替え:200万円 |
20年後 | 吹き替え:200万円 | 葺き替え:200万円 | 塗装:70万円 |
20年の合計金額 | 300万円 | 470万円 | 340万円 |
※30坪 屋根面積147.9㎡で計算 |
上の表はカバー工法(重ね葺き)を行なった場合と吹き替えと塗装を交互に行なった場合に20年でどの程度の費用差があるのかを表にしたものです。ご覧の通り、カバー工法を行なった方が費用を安く抑えることができます。
ただ、先の表だとコロニアルでは行わない「塗装」も含まれていますのでコロニアルなどのスレート瓦の場合の表を見てみましょう。
コロニアル屋根での比較 | A宅 | B宅 |
---|---|---|
初回のリフォーム | カバー工法:100万円 | 葺き替え:200万円 |
10年後 | メンテナンス不要期間 | メンテナンス不要期間 |
20年後 | 葺き替え:200万円 | 葺き替え:200万円 |
20年の合計金額 | 300万円 | 400万円 |
※30坪 屋根面積147.9㎡のコロニアル屋根で計算 |
カバー工法と葺き替えを組み合わせた場合と毎回葺き替えでリフォームしている場合とでは100万円もの差になりました。この金額を大きいと取るか小さいと取るかは人により変わってきますが、管理人であればカバー工法でリフォームして残った100万円で別の箇所をリフォームします。
100万円あればそれなりにグレードの高いユニットバスにリフォームすることだってできてしまいますし、屋根の余った分で外壁のリフォーム費用を賄うことだってできます。
まとめ
いかがでしょう。「どうせならやるなら葺き替えを…。」と考えていた方も少しは考えが変わりましたか?
カバー工法は既存の屋根が残ってしまう分、まるまる新品という訳ではありませんが見た目は完全に新品になりますし、防水性能も葺き替えに劣ることはありません。
むしろ、防音や断熱性能は葺き替えよりも向上し、それでいて費用は安く済みます。
あなたの家のコロニアル屋根が著しく痛んでいないのであればカバー工法を検討してみる価値はあると思います。
ちなみに上の画像は実際にカバー工法でリフォームを行ったお家のリフォーム前のコロニアル屋根です。
このお家がカバー工法でどのように生まれ変わったかは「コロニアル屋根をカバー工法でリフォームしてみた!費用や手順まとめ」の記事後半で紹介しています。