「和式トイレを洋式に変えたいけどあまり予算を掛けたくない。」「足腰が弱くなってきて和式トイレを使うのが大変」そんな時に活躍するのがTOTOの「スワレット」です。
このページでは手軽に和式トイレを洋式に変更できる「スワレット」に関してメリットやデメリット、施工工事に掛かる費用、介護保険や補助金が適用できるのか?洋式トイレに変えることとの比較などについてまとめています。
TOTOのスワレットの設置を検討している方はぜひ参考にしてください。
スワレット(和風改造用便器)とは?
メーカー | TOTO |
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スワレットはTOTOが発売する和式便器に被せるだけで洋式トイレのように腰掛けて利用できるようにするためのもので別名「和風改造用便器」と呼ばれています。
大掛かりな工事を必要としないため、和式トイレを洋式トイレにするリフォームの中では最もリーズナブルな価格で施工することができ、手軽に和式トイレを洋式に変えたい方に人気があります。
スワレットは既存の和式便器の上に被せる陶器製の土台のようなもの部分を指す商品で便座部分は対象の便座の中から別途購入する必要があります。
スワレットが取り付け可能な和式便器
スワレットが取り付け可能な和式便器は下記の通りです。
- C375AV
- C375AVF
- C750AV
※1:C365AV・AVFであっても便器リム手前の形状が湾曲している場合、スワレットはセットできません。
※2:寒冷地仕様には取り付けできません。
引用:TOTO公式カタログ
ここで注意しなければならないのが※部分の注意書きにある内容です。既存和式便器の型番が一致しても形状によっては取り付けできない場合があるということです。後述するアマゾンや楽天などのショッピングサイトでの口コミでも実際に形状が合わなかったという声があります。もし、スワレットをご自身で購入した場合のミスはせっかく購入したスワレットが無駄になってしまいます。
「初めから業者に任せておけばよかった…。」なんてことが無いようにも不安があるのであれば素直に専門業者に依頼しましょう。
スワレットのオプション
スワレットのオプションは便器の前に置く「踏台」と、便器を囲うように取り付ける「トイレ用手すり」の2つがあります。
踏台は4700円、手すりは32600円とそれぞれ別途費用が必要となります。ちなみに踏台を実際に利用したユーザーの口コミでは「踏台が動いてしまうから危ない」といったものが多く評判はイマイチでした。
スワレットの設置に介護保険は使えるのか?
結論から言うとスワレットを使った和式トイレを洋式にするリフォームで介護保険を適用することはできます。
便座を温式便座にしたりウォシュレット機能の付いた便座に交換することや便座を高さの高いものに変えたり、ドアの開閉方式を開き戸から引き戸に交換する工事も対象になります。
ただし、「古くなったから交換したい」という理由では適用されませんので注意が必要です。提出する書類でもしっかりと必要性が伝わるような内容が必要となります。
介護保険を使うのであれば当然、要支援、要介護の認定を受けているはずですので必ず担当のケアマネージャーにも相談するようにしましょう。
また、下記の記事では実際に要介護認定を受けたお父様のために介護保険を使って浴室と和式のトイレをリフォームした方を取材したものですので介護保険を使ってリフォームしたいと考えている方は参考にしてください。
記事内の施主様のコメントでも取り上げていますが介護保険が使えるのはリフォームしたお家で介護を受けることが前提です。もし、状態が悪化して家に戻る前に病院で亡くなってしまった場合など、家で過ごすことがなくなってしまうと補助金を受け取ることはできません。
介護保険や補助金を使ったリフォームは必ずその場所で介護を行う必要がある上、リフォーム工事完了するまでにはそれなりの日数が必要となりますので本当に必要になる前、介護認定者が元気で手が掛からないうちに行っておくようにしましょう。
スワレットに対応したTOTOの便座一覧
スワレットは現状では13種類の便座に対応しています。このスワレットのリフォームでは便座選びがトータル価格を大きく左右します。
モデル | 特徴 | 価格 |
---|---|---|
アプリコット(全4種) | 超高機能 | 119000円〜179000円 |
ウォシュレットS(全4種) | 高機能 | 87000円〜122000円 |
ウォシュレットSB | ウォシュレット機能 | 77000円 |
ウォームレット(全2種) | 温式便座 | 20500円〜39500円 |
普通便座(全2種) | 低価格 | 11200円 |
この中でウォシュレットが付いているのはアプリコットとウォシュレットS、ウォシュレットSBなどの上位3モデルのみですのでウォシュレット機能を付けたい方はこの3つの中から選びましょう。
アプリコットとウォシュレットSはリモコンが別になっているタイプで、ウォシュレットSBは便座の脇にリモコンが付いている一体式です。
他にもモデルによって様々な機能差があります。詳しくは下記の公式カタログを参考にしてください。
スワレットにリフォームするのに必要な費用
先ほどもお伝えしたようにスワレットにリフォームする費用を最も左右するのは、スワレットの上に載せる便座をどれにするか?というのが最も大きな部分です。最も高額なアプリコットの最上位モデル「F3AW(179000円)」と普通便座(11200円)とでは167800円もの差があります。
私がリフォーム価格を調べる上で参考にしているホームプロの8万件以上の事例の中からスワレットの事例を探してみても最安値で8万円、最高額が19万円とやはり大幅な開きがありました。
温式便座とウォシュレット機能が付いた便座は普通便座と比べると本体価格はもちろんのこと、コンセントを設置するための電気工事の費用も必要となります。
ただ、スワレットの施工費用自体は平均して1〜2万円程度とそれほど大きな費用ではありませんので工事価格の大部分を左右するのは''便座次第''といったところでしょう。
また、詳細は後述しますが水道代の観点から今のお家に長期的に済むのであれば思い切って洋式トイレでリフォームしてしまうのも一つの手です。
どの便座にするか?何人で使うか?など状況によって多少変わってくるものの、一般的な家庭でおよそ5年以上済む可能性があるのであれば最新の洋式トイレにしてしまった方が長い目で見たときのトータルコストはお得になります。
また、最大18万円の補助金が出る介護保険などが適用できるのであれば後々の水道代を考えて和式を洋式にしてしまった方が得策と言えるでしょう。
ホームプロでスワレットの事例を探す方法
約8万件の事例を持つホームプロでもスワレットを使ったリフォームは数が少なく順番に見ていると探すのに時間がかかってしまいます。
- ホームプロに行き、上のメニューバーの「リフォーム事例」をクリック。
- 左のサイドバーにある「検索条件」の最下部にある「キーワード」の入力欄に「スワレット」を入力し「検索する」をクリック。
イマイチわからない方は下記の「ホームプロを使って効率よく事例を探す全手順まとめ」を参考にしてください。画像付きで解説しています。
スワレットのメリットとデメリット
スワレットのメリット
- とにかく安く和式トイレを洋式にできる
- 介護保険も対応
- 取り付け工事は半日で終了!施工費用も安い
- 便座は幅広いモデルに対応。ウォシュレットにも対応
スワレットのデメリット
- 洗浄自体は和式のままのためスワレットでは節水にはならない
- スワレットから流れる水の量が少ないため汚物などの汚れが残りやすく臭い・ニオイが気になると言う声が多い
- 内側側面は水がまんべんなく流れないため汚れがこべりつきやすく掃除が大変
- 既存の和式よりも突き出す部分が多くなるためトイレの空間が狭くなる
- 既存の和式便器の形状によっては使えないものがある
- トイレットペーパーの位置など細かい器具を移設する必要がある
- 温式便座やウォシュレット便座にする場合はコンセントを作るための電気工事が必要
安いけどやや不衛生か!?
スワレットの全体的な評価はコスト優先の方からは高い評価を得ていました。確かに一般的に和式のトイレを洋式のトイレにリフォームするよりも半分程度の出費で抑えられるのは大きな魅力ですよね。
ただ、一方で多くみられたのが臭いや汚れなどに関する衛生面の問題です。スワレットは和式トイレの上に被せ物をするという構造のため、毎度の洗浄の際に便器の内側に十分な量の水が流れず、一般的な洋式便器と比べると乾燥面も多くなってしまいます。
そのため、スワレットの内側は非常に汚れが残りやすくなっています。掃除は念入りに行わなければならないですし、ちゃんとした洋式トイレに比べて気を付けていないと臭いも強くなりやすいのです。
【DIY】スワレットの設置工事は自分でできる?
上の画像は実際にネットで集めた口コミの中から取り付けを自分で行った方の口コミをまとめたものです。それぞれ見てみましょう。
商品には大変満足してます!説明通りに設置するにはタイルに穴あけや配管を切る道具が必要ですのでそこそこDIY経験がないと厳しいかも!
ひとまず誰しもが家にあるような道具だけではなく、多少専門的な道具は揃える必要がありそうです。
和式便器の形状が合わないものだからパッキンでなんとかしてほしい。よく確かめない自分のミスだが。
一見どれも同じに見える和式便器の形状でもスワレットに対応しているものとそうでないものがあるようです。せっかくスワレットを購入しても取り付けできなかったら全ての費用が無駄になりますし、ホント最悪ですよね。
自分で設置するのは結構大変ですよ。甘く見ない方が良いと思います。
トイレは水回りですし、後々何かあると本当に困りますよね。
今回はCS500の取り替えのためCS501を購入しました。便器の取り付け用のねじ穴の位置がCS500と微妙に違っていて取り付けに苦労しました。また給水タンクから便器へ接続されている給水管からCS501に給水するため分岐菅の挿入やCS501への給水管を適切な長さに切断するなど加工の手間もかかりました。CS501そのものには満足していますが、既設の取り替えでも大変でしたので新規にCS501を取り付ける場合は工事を依頼した方が良いと思います。
この方は一つ前のモデルのスワレットを最新のモデルに付け替えられているようですね。付け替えだからと侮っていたようですが想像以上に難しかったようですね。
内容から見ても分かる通り、新旧モデルによって取り付け方法も多少異なるようです。最後に新規で取り付けされる場合はリフォーム業者に依頼することをおすすめされています。
自分でもできるが基礎的な知識の全くない方には少し難しい
実際に自分で施工している方もいるようですのでDIYで自分で施工することも不可能ではなさそうです。しかし、施工は金属パイプをカットして配管の向きを変えたりする必要がありますので、金属パイプを切断するための金属ノコギリやスパナなどの道具が無いと取り付けできません。
普段からDIYされている方や仕事でこういった作業に慣れている方であれば工具も一式持ってることと思いますがそうでない方は道具を購入することから始めることになります。
また、実際に作業した方の口コミでも「想像以上に大変…。」と言う声も数多くみられる上、基本的に水回りなどは水漏れなどの危険性もありますので不安な方は専門のリフォーム会社に依頼するのがベストと言えるでしょう。
専門業者にとっても特に難しい作業ではありませんので工期も半日程度で終わり、取り付け費用も1〜2万円程度で済む場合も多いようです。
トイレというのは使えなくなってしまうと最も困る場所ですので不安な方は無理して自分で施工せず、リフォーム会社に任せましょう。
トイレタイプによる使用水量と水道料金の差
さて、ここからはスワレットを使った場合と現在TOTOで販売されているトイレで年間の水道料金がどの程度変わるのか計算し、比較表にまとめていきます。
試算条件
- 年間使用日数:365日
- 家族4人:男性2人、女性2人
- 1日の使用頻度:1人あたり大便1回、小3回
- 水道代:265円/㎥(消費税8%で計算)
試算条件はTOTOのレストルーム(トイレ)のカタログと同様の試算条件を使っています。
トイレのタイプ | 使用水量/年 | 水道使用料金/年 |
---|---|---|
和式トイレ 16ℓ〜19ℓ |
約93440ℓ〜110960ℓ | 24738円〜29376円 |
一般的な旧型トイレ 13ℓ(大小共通) |
75920ℓ | 20100円 |
旧型節水トイレ 6ℓ |
35040ℓ | 9276円 |
TOTO最新ネオレストNX・AH・RH・DH 3.8ℓ |
19345ℓ | 5100円 |
TOTOその他の現行品 4.8ℓ |
22338ℓ | 5900円 |
洋式トイレの場合は便器の内側に傾斜が付いていることから重力も使って汚れを流しますが、和式トイレは真横方向に水を流す特性があるためどうしても使う水量が多くなってしまいます。
和式トイレの16ℓのタイプとTOTOの最新ネオレスト(NX・AH・RH・DH)とでは4倍もの差があります。TOTOその他の現行品と比べても3倍以上も違いますね。
仮にスワレットに施行した場合の合計費用が10万円、TOTOの現行品の洋式トイレにリフォームした場合の合計費用が20万円だとしたら、初期費用で10万円の差が生まれます。
スワレットの洗浄方式は和式と同じですから水道代は年間24738円、TOTOの現行品の洋式トイレの水道代は年間5900円ですから、差分である18838円の水道代が1年で浮くことになります。
この計算をもとに考えると和式のトイレをスワレットではなく洋式トイレに変えた場合の費用はおよそ5.3年で回収できることになります。
洋式トイレに変えずにスワレットを使い続けた場合の差
続いて洋式トイレに変えずにスワレットを使い続けた場合に水道代でどれくらい差が出るのかを計算してみました。
年数 | 和式の水道代 | 現行洋式の水道代 | 差 |
---|---|---|---|
5年 | 123690円 | 29500円 | 94190円 |
10年 | 247380円 | 59000円 | 188380円 |
20年 | 494760円 | 118000円 | 376760円 |
30年 | 742140円 | 177000円 | 565140円 |
※和式トイレは16ℓ、現行洋式トイレは4.8ℓでそれぞれ試算。 |
スワレットの交換した多くの方が5年は使うつもりだとは思いますが5年でも9万円以上もの差がありますね。10年、20年が経過した頃にはかなりの額になっています。
30年後というのもありますが、その頃の和式トイレは「えッ!和式トイレ!?スゲー!」「和式トイレ?なにそれ?」という具合に都市伝説のようなものになっていることでしょうから流石に使っている人はいないこととは思います。
【まとめ】長く使うのであればスワレットではなく洋式にするのがおすすめ
スワレットは低コストで和式トイレを洋式トイレにすることができるため、人気がありますが5年、10年と長く使うのであれば洋式トイレにしてしまった方がお得です。
実際、ホームプロの事例を見ても和式トイレを洋式にするリフォームのほとんどがスワレットを使わない方法です。もちろん、スワレットを選ばないのは洋式トイレにすることにそれなりのメリットがあるからです。
ただ、どちらにするにせよリフォームをする際は複数のリフォーム会社から相見積もりを取ってプランや料金を比較してから決めてください。
一括見積もりは費用的メリットは当然ですが色々な会社から意見を聞くことができるのが最大のメリットです。一括見積もりサイトはホームプロやリショップナビなどメジャーなサイトで問題ありません。