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コロニアル屋根をカバー工法でリフォームしてみた!費用や手順まとめ

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施工の容易さと低コストであることから新築の時にかなりの確率で使われているコロニアル屋根。見た目が劣化していても機能性の衰えは少ないなど屋根材としての性能も高いのが特徴です。

しかし、コロニアル屋根も永遠に使えるわけではありません。およそ10〜20年程度でコロニアル屋根の下にある防水シートが劣化し、葺き替えやカバー工法を検討することになります。

下記の記事でも紹介しましたがコロニアル屋根のリフォームではコストなどのメリットからカバー工法が最もおすすめですし、非常に人気があるリフォーム方法です。コロニアルをはじめとするスレート屋根を販売するケイミュー(株)や大手リフォーム会社(積水ハウスリフォーム(株)、トヨタハウスリフォーム(株)、ダイワハウスリフォーム(株))などもカバー工法を推奨しています。

このページではそんなコロニアル屋根のカバー工法の様子や実際に掛かった費用、リフォーム成功のポイントなどを紹介しています。

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今回のカバー工法リフォームの費用と内容

BEFORE

AFTER

実は今回取材させていただいたお家は外回りのリフォームをまとめてやってしまいたいという希望があり、屋根以外にもかなり色々な箇所のリフォームを同時に行なっています。

まずは今回取材させていただいたリフォーム工事の簡単な内容を説明します。工事の内容は下記の通り。

  1. 下屋根のトタン瓦棒屋根をカバー工法でリフォーム(当ページ)
  2. 大屋根のコロニアル屋根をカバー工法でリフォーム(当ページ)
  3. 外壁塗装
  4. 雨樋を新品に交換
  5. ジャバラ門扉の交換
  6. 屋根置き型ベランダの交換
  7. 木製縁側の交換

※全部このページに掲載するととんでもない長さの記事になってしまうため複数の記事に分けて紹介しています。このページでは1と2の2つの屋根のリフォームについて掲載しています。興味のある方は3、4、5もご覧になってください。

ご覧の通り、ほぼほぼ外回り全部といった感じです。これだけの工事なので結構な費用が予測されます。

続いて今回のリフォームの費用を紹介します。

大屋根(コロニアル) 約38万円
下屋根(トタン瓦棒) 約19万円
合計 約57万円

大屋根と下屋根で分かれていることもあって、この価格が安いのか高いのかイマイチわからないですよね。なので下記に一般的に目安となる価格をまとめておきました。

種類 費用相場
一般的なカバー工法の相場 100万円〜150万円
一般的な葺き替えの相場 120万円〜300万円
スレート屋根をカバー 80万円〜150万円
金属屋根をカバー 60万円〜100万円

上の表はあくまでも一般的に言われている相場であって家の大きさや形状などによって大きく変わります。参考程度に考えてくださいね。

今回のリフォームは下屋根も大屋根も葺き替えよりも3割ほど費用を抑えられる重ね貼り(カバー工法)で施工しますので葺き替えと比べるとそれなりに費用は抑えることができます。

また、既存の屋根も下屋根は金属屋根で大屋根はコロニアル屋根(スレート)ですので両方とも一般的な相場より安くなりやすいです。

今回のリフォーム費用は約57万円ということで上の表と照らし合わせても安いことがわかりますね。

ホームプロの「費用相場シミュレーター」と比較

一括見積もりサイト大手のホームプロが提供する「費用相場シミュレーター」で屋根のリフォーム相場を検索し比べてみましょう。

ホームプロの費用相場シミュレーターでは屋根のリフォーム相場は100万円以下が目安の価格帯、50〜100万円が中心価格とされています。

これらの価格は実際にホームプロで相見積もりを取って成約された方々のデータを集計して作られていますのでデータは全て一括見積もりを取って比較検討した方ということになります。一般的な相場よりも安くなっているのも納得ですね。

ちなみに費用分布なども確認することができます。59万円以下が29%と最も多くなっているため「あれ?」っと思われた方も多いかと思いますが50万円以下の内容を確認すると屋根の塗装(20~30万円程度)が多く掲載されていました。

それぞれの価格分布はクリックで具体的な事例などが見れますので気になる方はホームプロの「費用相場シミュレーター」を確認してみてください。ちなみに登録なども必要なく誰でも無料で見れます。

屋根のリフォーム費用は他人と比べずリフォーム会社間で比べる

ひとことに屋根のリフォームと言っても費用は一軒一軒違うものです。今回のお家もコロニアルの大屋根とトタン瓦棒の下屋根の両方をリフォームされていますが、この価格と下屋根のないお家だったり日本瓦のお家のリフォームとで費用を比べるのが間違いなのは言うまでもないことですよね。

にも関わらず多くの方は親戚や友人、ご近所のリフォーム費用と比べたりします。築年数も家の大きさも違うのにです。

それに今まで塗装で済ませていた家でも下葺き材の劣化具合などからカバー工法や吹き替えなどを検討しなければならない時期も必ずあります。そんな時でも全く状況の違う家のリフォーム費用と比較したところで何の参考にもなりません。

ただ、「損をしたくない」「大切な家のリフォームを成功させたい」そういう気持ちの現れなのもよく分かります。

そして、比較検討することもとても良いことなのですが、一点重要な間違いなのが比べる先が違うということ。

比較するべきなのは他人の家のリフォーム費用なのではなく、工事を依頼するリフォーム会社同士のプランや費用を比較するべきなのです。

複数のリフォーム会社から相見積もりを取り、比較検討することこそが失敗しないリフォームの鉄則なのです。

当サイトでは屋根のリフォームにおすすめの一括見積もりサイトの比較ページなども用意していますのでぜひ参考にしてください。

カバー工法の手順や工程を完全レビュー!

さて、ここからはカバー工法の屋根のリフォームの全手順をレビューしていきます。

今回屋根のリフォームするお家です。ちょっと前に2Fにある屋根置き型のベランダをリフォームしたばかりですが追加で屋根と外壁、雨樋のリフォームをするそうです。

画像のオレンジ色で囲った部分を見ると分かる通り、お家の中段にも下屋根(げやね)と呼ばれる屋根があります。下屋根と屋根の両方をリフォームします。

ハシゴを登って上から見てみましょう。

昔の家でよく見かけたトタン瓦棒(かわらぼう)屋根ですね。トタン瓦棒屋根は鉄板と棒を組み合わせた屋根で勾配の緩い屋根などによく用いられます。

トタン瓦棒屋根は勾配が緩い屋根に施工されることに加え、意外にも軽量なため画像奥に見えるように屋根置き型のバルコニーやベランダの下に使われやすい傾向があります。

ただ、トタン瓦棒屋根の材質は鉄ですので経年劣化によって錆が進みやすく一般的な寿命は10〜15年と言われています。

トタン瓦棒の屋根の錆を放置しておくとやがて屋根に穴が空き雨漏りなどが起こり、家の内部まで知らず知らずのうちに腐らせてしまうことがあります。屋根に空いた穴は最悪の場合、家の基礎となる重要な部分にまで甚大な被害を及ぼすことがあるので重症化するまでに手を打つことが大切です。

今回のトタン瓦棒屋根はまだ錆の少ない部分もありますが日差しがよく当たる南向きの箇所などはそれなりに錆が進んでいました。

手で触るとまるでヤスリのようにザラザラしているのがわかります。穴が空いている箇所などはありませんでしたが、それなりに痛んでいることは十分わかります。

ちなみに穴が空いていたりと状態がかなり悪い場合はカバー工法ではなく葺き替えを検討することになります。今回の場合では錆は進行しているものの穴などは空いていないためカバー工法で施行されることになったようです。

さて、錆を触っている写真を撮っているうちに下屋根の工事が急ピッチで進んでいきます。下屋根の工事は基本的に板金工事を専門とする職人さんが施工を行います。

既存の屋根の棒と棒の間に上の画像のような鉄板をはめ込んでいきます。

はめ込んだ鉄板の縁と既存の棒を釘でしっかりと固定します。

軒先の部分はツカミバシと呼ばれる専門の工具を使ってしっかりと固定します。

雨樋など邪魔なものは切ってしまってあとで付け直します。

複雑な場所はきっちりと寸法を測って…。

鉄板を必要な大きさや形にカットしていきます。

ビターーーーー!っと完璧です。

鉄板を固定したら棒の部分を被せます。

かなりジャストサイズですが力尽くでガチッガチッとはめ込んでいきます。

しっかり固定したら釘で固定して完成です。

ベランダの足がありますがどうするのでしょうか?

なんと専用の道具を使ってベランダ自体を持ち上げてしまいます!すごい!

部分ごとに長さを測って必要に応じて材料をカットして使います。

無事に下屋根のリフォームが完了しました。この後に屋根のリフォームと外壁塗装、雨樋交換があるので足場が組まれていますが色合いも上品で綺麗ですね。

続いては2Fの大屋根のリフォームに入っていきます。

屋根材は戸建て住宅で最もメジャーなコロニアルです。既存の屋根材がコロニアルの際は状態にもよりますが多くの場合で最適なのが重ね貼り(カバー工法)になります。

なぜ、コロニアルの屋根はカバー工法がおすすめなのかは下記の記事をご覧ください。

塗装は無意味!?コロニアル屋根にはカバー工法が最適な3つの理由

表面は苔のようなもので覆われていて手で触るとかなりザラザラしています。メーカーの公式カタログにも記載されていますが色褪せや汚れがあっても基本的な性能は維持されるとあり、このような状態でも屋根材としての役割はしっかりと果たしています。

コロニアルは表面が浮いてしまっていたり、ズレや割れが発生した際に補修の必要があります。このようにコロニアルは非常に優秀な屋根材ですが、かといってずっと使える訳ではなく、屋根材であるコロニアルに問題がなくともその下にあるアスファルトルーフィング(防水シート)が年数とともにダメになってきます。

アスファルトルーフィング(防水シート)は標準的なもので約10 〜20年で寿命を迎えますので、このタイミングでリフォームを検討するのが目安となります。

屋根というものは表面の屋根材とその下の防水シートの2つがしっかりと役割を果たすことによって雨風を凌いでいます。どちらかが無事でも2つのうちどちらかがダメになった時点で雨漏りに繋がるリスクが高まりますので見た目だけで判断せず一定の期間でしっかりとメンテナンスを行いましょう。

既存屋根の上に新しい屋根を被せるカバー工法では、まず既存屋根の上に新しい下葺き材(防水シート)であるアスファルトルーフィングを敷いていきます。

アスファルトルーフィングは軒先から棟先をめがけて貼っていくのですがピッタリ貼るのではなく少し重ねながら貼っていきます。上の方に定規のような線があるのがわかりますでしょうか?この部分を重ねながら貼っていくようにします。

アスファルトルーフィングは工事が完了した後は見えなくなってしまう部分ですので悪質な業者だとケチって重ね代を十分に取らずに貼ることがありますが今回はしっかりと重ね代が確保されていました。

ちなみに一言にアスファルトルーフィングと言っても様々なグレードや種類があります。今回使われているのはルーフィングシートで国内最大手の田島ルーフィングのものですね。

田島ルーフィングでは17種類ものルーフィングシートの取り扱いがありますがグレードは大きく分けて下記の3つに絞られます。

  1. アスファルトルーフィング940…最も安価なルーフィングシート。10年を過ぎると大幅に性能が低下する。
  2. 改質アスファルトルーフィング…改良を加えられたルーフィングシート。寿命は約20年。
  3. マスタールーフィング…田島ルーフィングが取り扱う中では最も高価なルーフィングシート。寿命は60年とかなり長い。

今回のカバー工法で利用するのは2の改質アスファルトルーフィングです。「TADIS self(タディスセルフ)」と書かれていることから粘着層
(遅延タイプ)であることがわかります。裏面が粘着層になっているタイプで時間とともに徐々に粘着していくので微調整のための貼り直しができます。

ルーフィングシートは完成してからでは目に見えない部分なので低品質なものが使われることもしばしばあり、契約前に必ず確認しておきたい箇所の一つです。その場合は「改質アスファルトルーフィング」以上のグレードが望ましいです。

さて、アスファルトルーフィングを貼り終えたら屋根材を取り付けていきます。今回利用するは下屋根と同じガルバリウム鋼板の屋根材「ヒランビー220」です。

「ヒランビー220」の詳細と施工方法に関しては下記の動画が参考になります。

動画で詳しい説明がありましたが動画と同じように施工していきます。

軒先部分に軒先用のスターターAをよっこいしょッ!とはめ込んで釘でバシッと止めます。

続いては下り棟の部分を作っていきます。

寸法を測ったり材料をカットしたりしながら形を作っていきます。このあたりの作業は大工さんの裁量によるものになりますので技術で差が出る部分かもしれません。

綺麗にまっすぐ出来ました。

そして、先に取り付けた軒先のツメに引っ掛けて釘打ち。引っ掛けて釘打ち。

引っ掛けて釘打ち。引っ掛けて釘打ち。これをひたすら繰り返すと…。

こうなります。ここまでくると一気に完成が近付いた気がしますね。

続いて、下り棟の部分を仕上げていきます。かなり歪な形をしていますがどうするのでしょうか?

鉛筆で木材の形に合わせて印を付ければ〜。

泣けるほどジャストフィットです。素晴らしい!

あとはこれらの作業を繰り返すだけ!

完成です!

前日に雨が降ったので少し汚れています。隙間が出来てしまう部分などは丁寧にコーキングされています。

表面をアップにすると微かに縦線が見えますね。触った感触的には思ったよりもツルツルしておらずサラサラとしていてコピー用紙のような質感を感じます。

屋根のリフォームをビフォーアフターで比較

さて、今回のリフォームの様子をビフォーアフターでどのように変わったのか見比べてみましょう。

下屋根(トタン屋根)のビフォーアフター

BEFORE

AFTER

艶もなく穴は空いてないにしろ錆はそれなりに目立っていた下屋根のトタン瓦棒屋根はカバー工法でツヤツヤになりました。ガルバリウム鋼板なので錆にも強く、トタンの3〜6倍の耐久性を兼ね備えています。

大屋根(コロニアル)のビフォーアフター

BEFORE

AFTER

大屋根部分のコロニアルは元の色が何色だったのかわからないほどの状況でしたが下屋根と同じガルバリウム鋼板の屋根材「ヒランビー220」によるカバー工法で下屋根と統一感のある赤屋根へと生まれ変わりました。下葺き材も新品になりましたので当分は安心です。

まとめ

今回はコロニアル屋根をカバー工法でリフォームする様子を紹介しました。コロニアル屋根は見た目がかなり劣化していてもしっかりと役割を果たせる優秀な屋根材です。しかし、コロニアルの下にあるルーフィングシートは年数が経つと次第に役目を果たせなくなってしまいます。

記事の途中でもお伝えしましたが屋根は表面にある屋根材とその下のルーフィングシートの2つがしっかりと機能することによって雨水の侵入を阻止しています。

屋根の下にある防水シートは表面から見えないため「まだ大丈夫だろう」と屋根のリフォームを後回しにされる方がいます。しかし、雨漏りなどが発生してからすでに家に重大なダメージを与えてしまっていることもあります。

家の中のリフォームは日頃から使ったり目に触れたりするため不便な点があったり気になる点があると多くの方が早いうちにリフォームに踏み切ったりしますが本当にしっかりと手を入れないといけないの屋根や外壁の方なのです。

「そろそろタイミングかな。」そう思ってもその時に動かないとどんどん後回しにしてしまいます。気が付いた時に思い切って行動に移しましょう。

このリフォームにおすすめの一括見積もりサイト

このリフォームの施工会社

株式会社ウェブ 建築設計事務所

〒270-0013
千葉県松戸市小金きよしヶ丘3丁目8番地の9
TEL:047-345-3295

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